いまある社会関係を活かした開発を目指して

エチオピア南部の半乾燥地ボレナ県で学んだことを、忘れてしまわないうちに…。

(14) 開発活動について聞き取りを続ける

ディレ郡の村でのコミュニティ・ベースの活動

 2012年3月21日(木)は第1年次では対象にならなかったディレ郡の村で話を聞いた。

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話を聞いた村の長老

 「我々の主食はシュモ(shumo)で、メイズとインゲンマメを塩茹でしたものだ。たまに小麦が手に入った時にはキタ(kitta)と呼ばれるパンを焼く。けれどもインジェラを焼くことはない。」

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メイズを塩茹でしたシュモ

 「食事は1日に2回、お昼と夜にシュモを食べる。ヤギや羊は年に2回、乾季が終わる直前の一番厳しい時期、主食の代わりに屠殺して食べる。牛を屠殺するのはジラ(jila命名式、男の子が6ヶ月から2歳の間に行う)の時だ。ジラで屠殺した牛の頭蓋骨は家の屋根の上に飾る。」

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入り口の上には牛の頭蓋骨が飾られている

 「我々は2つの人の飲用のハロと2つの家畜用のハロを使っている。8つのオラが同じレラ(放牧地の単位)に属していて、ハロも共通である。人用の大きなハロは3ヶ月使うことができ、ここから20分のところにある。また家畜用の2つのハロは30分くらいのところにある。ハロの水がすべて枯れてしまった時、家畜にはエラ・マダチョ(3時間くらいの距離)に、人用にはポンプ式の井戸(1時間くらいの距離)に行く。」

 「今年の乾季は、3つのハロの掘削工事を行った。掘削には8つのオラがすべて参加したが、干ばつのため水や牧草を求めて牛を移動させなければいけない人たちが多くて、それぞれの村から1日平均10人くらいしか掘削工事に参加しなかった。雨季(Ganna Season)にはハロの拡張工事を行う予定である。雨季になってほとんどの人たちが帰って来て、工事への参加者が増えることを期待している。」

「ハロにはそれぞれアバ・ヘレガがいて水の管理をしている。また掘削工事や2つの人用のハロ、2つの家畜用のハロの運営は、レラで行っている。」

ヤベロ郡の村でのコミュニティ・ベースの活動

 3月23日(土)には再びヤベロ郡のHidiale村、Obda村、そして丘の上のYubdo村を訪れた。まずHidiale村で19日(火)にも訪れたばかりのHaro Hidi Dikoで工事についての話を聞いた。

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ヤベロ郡Hidialle村のHaro Hidi Diko

 「Haro Hidi Dikoの掘削は25日(月)から始める予定だ。明24日(日)にレラの会議を開き、Haro Hidi Dikoの工事を週何回、何人くらいの参加でやるか、そして工事と雨季の農作業をどう両立させるかについて話し合うことになっている。ハロやカロ(柵で囲まれた放牧地)の運営について取り決めをする時は、アバ・オラ(自然集落の長)、カエ(Qa’e、レラの長老)、ゾニのリーダー、ガレ(行政集落)のリーダーが集まってレラ・レベルの会議を開く。それから3つのゾニ(この辺りではゾニとレラは同一)の代表が集まってPA(行政村)レベルでそれぞれのゾニの活動計画とその優先度について議論する。このPAの会議には村長(PA Chairperson)、ジャルサ・アルダ(Jarsa ArdaPAのリーダーたち)、ゾニのリーダーたち、ガレのリーダーたちが参加する。アルダは通常2つか3つのレラが集まったもので、ジャルサ・アルダはそのリーダーであり、水と牧草についての会議(Kore marraa fi Bishaan)のメンバーである。それぞれのハロにはアバ・ヘレがいて、牛に水を飲ませる際の管理を行う。」

 Obda村のNyaroゾニでは、Haro Dima Ketelo、Haro Arero Doyo、Haro Mahabaraの3つのハロを掘削する予定だという。

 「雨季が始まってしまい、多くの人が農作業に忙しいため、工事をいつ始めるかはまだ決めていないが、明24日(日)にはレラ・レベルの会議を開く予定である。いまのところ、活動するのは朝6時から7時までになりそうである。ため池の活動も農作業もできるのは今しかないため、工事は農作業から戻ってからということになる。Gare BirbisaとGare Tulaの2つのガレがHaro Arero Doyoの掘削を、Gare Dire、Gare Adado、Gare Dhaka Dimaの3つのガレがHaro MahabaraとHaro Dima Keteloの掘削を行うことになっている。」

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ヤベロ郡Obda村Nyaroゾニでの耕起/種蒔きの様子

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ヤベロ郡Obda村Nyaroゾニでの耕起/種蒔きの様子

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ヤベロ郡Obda村Nyaroゾニでの耕起/種蒔きの様子

 「3月13日(水)にレラ・レベルの会議を開き、ショベルやツルハシ、斧、鍬の工具はその時に工事に参加するガレに配布した。けれどもハンマーや一輪車、バールは数が少なくガレに配ることができないので、工事の指揮を執るゾニのリーダーたちに配布した。今シーズン計画された活動が終わった後も他の活動のために工具を使って行く予定である。」

 「Haro Mahabaraは人と家畜の共用だが、Haro Dima KeteloとHaro Arero Doyoは人専用のハロである。今あるハロはみな中規模なものなので、2ヶ月以上は持たない。そこで乾季には人も家畜も1時間掛けてElla Gale、Ella Nana’aまで行くことになる。大旱魃の時は3時間掛けて、ヤベロ郡Borema村にあるElla Boqeまで行く。人専用のハロ以外にはアバ・ヘレガがいて家畜に水を飲ませる際の管理を行う。またすべてのハロの掘削や運営はレラで行う。」

 丘の上のYubdo村は北から来たブルジの人たちの住む村である。

 「我々はYubdo村の中にある2つのハロ(Haro NadheniとHaro Mahabara)、1つのエラ(Ella Komole)を使っている。Haro Nadheniは人の飲用で、女性グループが掘ったものなので、管理も女性グループが行っている。Haro Mahabaraは家畜用でアバ・ヘレガが水の管理をしている。どちらも大型のハロなので、雨季に十分な雨が降れば、乾季が終わるまで使うことができるが、干ばつで干上がってしまった場合にはElla Komoleを使うことになる。Ella KomoleはElla Hawatuと呼ばれることもあり、もともとはYubdo村のあるGesuゾニに所属していたが、いまはヤベロの町の管轄下にある。ハロの掘削や運営はレラで決めている。」

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ヤベロ郡Yubdo村の農作業の様子

 ヤベロに戻って来ると、毎週土曜日の市から帰って来る人たちがいた。

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市から帰って来る人たち。丘の向こうから来たという。

マルカ・ソーダ郡の村でのコミュニティ・ベースの活動

 3月26日(火)と28日(木)は車で2時間以上掛かるマルカ・ソーダ郡(主にグジの人たちが住む地域で、2016年には新たにできた西グジ県の一部として独立した)の村々で開発活動についての話を聞いた。まずはHadha Gora村のDhadacha Horaゾニである。

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マルカ・ソーダ郡Hadha Gora村の長老たち

 「Dhadacha Horaと呼ばれるカロ(柵で囲った牧草地)は、Gora MalkaとKuro Senteriの2つのガレ(行政集落)の間にあり、明日ブッシュの伐採や柵作りをする予定になっている。RREPチームから先週ローズグラスの種子を受け取ったので、明日、耕起と種蒔き、ブッシュの伐採と柵作りを同時にやるつもりだ。PAのチェアパーソンと副チェアパーソンが中心になって、8つのガレが参加の予定だ。それぞれのガレからは10人が参加することになっているが、一番カロの恩恵に与るGare Gora Malkaは全ての世帯が参加する予定だ。Gare Koru Senteriにも大きな恩恵に与るが、遠方にあるため参加は10人だけになる。他の6つのガレには直接の恩恵はないが同じ地区のガレなので助けに来ることになっている。それは他の開発活動でも同じで、直接の恩恵があるかどうかに関わらず、皆が参加する。Dhadacha Horaゾニには16のガレがあるが、残りの8つのガレは明日同じ時間に、流域保全管理のプログラムでローズグラスの種蒔きをすることになっている。」

 「RREPの放牧地研修には村からの指示でこのゾニからも10人が参加した。彼らがカロ管理委員会のメンバーになり、活動を監督する。明日の活動も彼らが運営し、将来もモニタリングする。明日は全体でカロの整備に100人、流域保全管理に100人参加する予定だ。」

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マルカ・ソーダ郡Hadha Gora村の人たち

 「このゾニにはハロが1つとエラが1つあり、いずれにもアバ・ヘレガがいて水の管理をしている。ハロやエラの掘削など工事が必要な時は、ゾニのリーダーたちがゾニのコミュニティに諮って予定を決定する。掘削には直接の受益者かどうかに関わらず、地区のすべてのコミュニティが参加する。幸い川(Dawa川という通年河川)があるため、他のハロやエラは必要ない。乾季、家畜には川の水を飲ませることができるからだ。」
 聞き取りの最中、村人がやって来てゾニのリーダーと議論になった。彼はローズグラスの種蒔きについて聞いておらず、カロの中にローズグラスを植えてしまったら、ヤギを一体どこに放牧させればよいのかと訊いて来た。そこでゾニのリーダーは今夜そのガレで集まりを持ち、プロジェクトについて説明した上で作業を始めることを約束した。

 次にGallo Bokola村のHaro Misoma Batesalifiゾニで話を聞いた。

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マルカ・ソーダ郡Gallo Bokola村の人たち

 「Gallo Bokola村のHaro Misoma Batesalfiゾニにあるのは乾季に人が飲用に使うHaro Misomaだけである。牛の飲み水には雨季も乾季もDawa川を使っている。Haro Misomaの掘削は3週間前に始めており、週に1回、火曜日に集まっている。このゾニには8つのガレがあるが、掘削に参加しているのはHaro Misomaの利用者である4つのガレである。Dawa川から飲水を運んで来るのは大変なので、大乾季にはHaro Misomaの水を、雨季には洪水による出水を使っている。」

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マルカ・ソーダ郡Gallo Bokola村のHaro Misoma

 2日後の3月28日(木)、Hadha Gora村Dhadacha HoraゾニのKalo Dhadacha Horaを再び訪れて、種蒔きの様子を見せて貰った。

 「3月26日(火)の夜にカロDhadacha Horaについての会議を持った。当初は8つのガレが参加する予定だったが、作業について話し合った結果、2つのガレで十分だということになり、このカロの直接的な利用者・受益者であるガレMalka HoraとガレKoru Senteriで耕起と種蒔きをすることになった。2つのガレの代表、ゾニの代表、村長、副村長、2つのガレを代表する長老ジャルサ・ビヤ(Jarsa Biya)などが集まってこの決定をした。ジャルサ・ビヤは集団を代表する長老なので、ガレのようなはっきりした地理的な範囲を持たない。通常、ジャルサ・ビヤはゴサ(gosa、氏族)や村レベルの紛争などの解決に当たる。」

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マルカ・ソーダ郡Hadha Gora村のKalo Dhadacha Horaでの種蒔きの様子

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マルカ・ソーダ郡Hadha Gora村のKalo Dhadacha Hora

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マルカ・ソーダ郡Hadha Gora村のKalo Dhadacha Horaでの種蒔きの様子

 「一方、残りの6つのガレは、橋の工事に参加することになった。この橋は川向うのGallo Bokola村Xile Lukaゾニが始めたもう一つのRREPプロジェクトである。この橋は当初我々の計画には入っていなかったが、Xile Lukaゾニと我々のDhadacha Horaゾニがつながるのは大変重要なことなので、Xile Lukaゾニに協力する必要があると考えた。」

 「種蒔きとブッシュの伐採は昨3月27日(水)に始まり、2つのガレから合わせて30人が集まった。そして2クインタル(200kg)のローズグラスの種を蒔いた。残りの1クインタル(100kg)は3月30日(土)に蒔く予定である。今日はカロにヤギが入るのを防ぐ柵を作る。」

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マルカ・ソーダ郡のHadha Gora村とGallo Bokola村の間を流れるDawa

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マルカ・ソーダ郡のHadha Gora村とGallo Bokola村を結ぶ橋の工事

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マルカ・ソーダ郡のHadha Gora村とGallo Bokola村を結ぶ橋の工事

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マルカ・ソーダ郡のHadha Gora村でミルクをご馳走になった。

 最後にマルカ・ソーダ郡の奥の方にあるBurka Dagaga村、さらに標高2,000mくらいあると思われるハイランドのGubata Bicho村で普及員から話を聞いた。

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ハイランドにあるマルカ・ソーダ郡Gubata Bicho村の風景

 「Gubata Bicho村のBore Neka ゾニでは月曜日からブッシュの伐採と柵の修復を始めた。これはゾニとしての活動で、10あるガレから10世帯ずつが参加している。Haro Bortichaの掘削も始めたが、雨が降り始めたので1日で中断している。水位が下がったら掘削を再開する予定だ。ハロの掘削には主な利用者である3つのガレから10人ずつが参加することになっていたが、初日は2つのガレしか参加しなかった。連絡が間に合わなかったという。」

 「もう1つ、新しいハロの建設があるが、工事はまだ始まっていない。ただいつ始めるかの議論は既にしており、ブッシュの伐採と柵の修復が終わったらゾニにある10のガレで取り掛かると言っている。」

 「Hilnto Kojowaゾニでは、Ella Bicho Hilntoの工事が既に終わっている。8つのガレから10人ずつ出て、毎週土曜日と木曜日に工事していた。Bore Neka村のセンターとHilnto Kojowaゾニのセンターを結ぶ道路の修復も、8つのガレから15人ずつが参加して、毎週水曜日と月曜日に行われている。」

 「Uda`o Gobuゾニでは2つのガレがElla Irbibaの修復を始めている。工事は週2回、月曜日と木曜日だ。初日にはUda`o Gobuガレから45人、Ibichaガレから17人が、2日目には2つのガレから20人ずつが参加していた。道路の修復も計画されており、エラの修復が終わってから道路に取り掛かるか、あるいは雨でエラの修復ができなくなったら取り掛かるかになるだろう。」

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Gubata Bicho村では道端でアボカドを売っていた。

 Burka Dagaga村でも普及員から話を聞いた。

 「Tesso Komoleゾニでは道路の修復と灌漑の活動を既に始めている。道路の修復には7つのガレから10人ずつが水曜日と土曜日の週2回参加している。Dawa川の近くでは果物と野菜の灌漑を組合で始めている。組合には42人の会員がいるが、まだ希望する例えばキャベツ、胡椒や玉ねぎの苗や種子を手に入れられずにいる。」

 「AdamaゾニではHaro Adama、Haro Guraiti、Haro Oshokoの掘削を終えている。彼らはRREPの工具が配布される前から活動を始めていて、週1回8週間協働した。Haro Aramaの掘削は1つのガレから30人が出て行った。Haro Guratiには2つのガレから20人が、Haro Oshokoには1つのガレから22人が出た。ブッシュの伐採はまだ始めておらず、いまやっている活動が終わってから、ゾニのすべてのガレの参加でやる予定だ。」

 「Haro Lu`oゾニではHaro Lu`oとElla Burkaの掘削を始めている。Haro Lu`oの工事は2週間前に始まったが、雨で止まっている。Ella Burkaは3週間前に始めたが、こちらも雨で止まっている。ブッシュの伐採はまだ始めていないが、すぐにも始める計画である。」