いまある社会関係を活かした開発を目指して

エチオピア南部の半乾燥地ボラナ県などで学んだことを、忘れてしまわないうちに…。No Day But Today / Carpe Diem

1. 北部ケニアの半乾燥地バリンゴ県で(1999年〜2001年) #Baringo #Kenya

 1990年代中頃から参加型開発・社会開発というような分野に関心を持つようになり、もっと現場に近いところで仕事がしたいと思うようになった。最終的には、中小企業振興・職業訓練・公害対策などが中心の仕事から、思い切って農村開発に転向した。そしてその最初の仕事が、北部ケニアの半乾燥地バリンゴ県の総合農村開発だった。

 村々を回って参加型ワークショップを開いたり、聞き取り調査をしたりしながら、記録のために写真を撮っていたのだが、デジタル・カメラが普及し始めたこともあって、写真の数が急に増え始めた。そんな中でとても思い入れのある写真も出て来た。

 最初の写真はスタディ・ツアーでバリンゴ湖の反対側に来て、丘の上の見晴台に立つ村人たち。私が景色に見惚れるのは当たり前だけれど、地元の人たちがこんな風に景色を見つめるとは思わなかった。単に想像力が足りなかったということだけれど、歩けば何時間も掛かるところへ、用もないのに来るはずがない訳で、恐らくは生まれて初めてこの景色を見る人がほとんどだったのだろう…。

バリンゴ県キセリアンの見晴台で(2000年8月5日)

 次の写真は観光地にもなっているカンピ・ヤ・サマキという湖岸の町の外れにある、ツルカナの人たちの集落で撮った子どもたち。紛争を避けて、北のツルカナ県から移住して来ている。紛争はいまも続いており、地元の新聞記事を読むとさらに悪化して多くの死者が出ている。またバリンゴ湖は土砂の流入で浅くなり、小さくなると予測されていたのだけれど、実際には浅くなることで流入する水を受け止められなくなって拡大しているようで、学校が水没したという写真が出ていた。一方、この辺り一帯は昨年から四十年に一度というような干ばつにも見舞われており、それが衝突の激化にもつながっていると言われている。

バリンゴ県カンピ・ヤ・サマキの町外れで(2000年8月7日)

 バリンゴ県では生活改善のための活動の一環として、女性グループを通じた改良かまどの普及を行っていた。その対象となっていた村の一つが、イルチャムスという人たちの住むエルドゥメという村だった。そこで撮った少女の写真はバリンゴで撮った中でも一番思い入れのある一枚となった。

バリンゴ県エルドゥメ村の少女(2000年11月6日)

 エルドゥメ村で中心となって改良かまどを普及してくれた女性。かまどだけではなく、周りに食器棚や物入れなどを作り始めて、それが皆の人気を集めた。

バリンゴ県エルドゥメ村で改良かまどを普及した女性(2000年11月6日)

バリンゴ県エルドゥメ村の典型的な家の全景(2000年11月6日)

バリンゴ県エルドゥメ村のクリスマスの飾り付けをした家(2001年2月3日)